「教育は大事だ」という言葉はよく聞きます。
でも、ふと思います。
本当に、今の日本で、教育の力が
そこまで信じられているのかな、と。
私は、
シンガポールが急成長していた時期に、
12年間、現地で生活していました。
年間のGDP成長率が毎年2桁で、
それが8%台に落ちると、
「経済が悪い」と新聞に出るような、
そんな成長中の時代でした。
当時のシンガポールは、
決して洗練された国という印象では
全くありませんでした。
経済的にもまだ発展途上で、
目立たない存在だったと思います。
でもそこから
英語を公用語にして浸透させ
金融、観光・物流で立国し、
世界の中で確かなポジションを築き、
小さな国でありながら
30~40年のうちに
輝く存在感を放つようになりました。
それは、まるで、
昔は全然目立たなかった子が、
ある日突然、
誰もが振り向くような存在に
なっていったのを、
隣で見ているような感覚でした。
どうして、ここまで変わったのか。
私はやっぱり一つしかないと思っています。
それは、本当に、本当に、
教育の力を信じていたこと。
建国者のリー・クアンユー自身が、
教育がもたらす力を信じて、
国の施策を立ててきたことに
あると思います。
もう一つ、
印象に残っている出来事があります。
以前、若い頃、
「シンガポール航空で働いています」
と話したときに、
日本航空の本社で働いている男性から、
「シンガポールのローカルな
フラッグキャリアですよね(笑)」
と言われたことがありました。
その言い方に、
少しだけ軽く見られているような
ニュアンスを感じて、
正直、驚きました。
その当時すでにシンガポール航空は、
サービス面で世界的に高い評価を受けていて、
特にビジネスクラスなどは
世界No1と評価されることが多く、
路線も広がりグローバルキャリアでした。
それでもなお、
そういう認識のままでいる人がいる。
しかも、その方は、
本社で働いている人でした。
人は、
自分が見ている範囲の中でしか
物事を判断できない。
そう感じた出来事でした。
そして、その「見えている範囲」を
広げてくれるものの一つが、
教育や学びなのではないかと思います。
最近感じるのは、
教育についての議論が、
どこか浅くなっているのではないか、
ということです。
例えば英語に関して、
今は翻訳ツールが発達しているから、
「もう勉強しなくてもいいよね」
という考え方も出てきています。
それは、正しい面もあります。
でも、じゃあ本当にそれでいいのか。
言葉というのは、
単に意味が通じればいいものではなくて、
その人の考え方や空気感まで含めて
伝わるものだと思います。
それをすべてツールで
代替できると考えてしまうと、
どこかで何かを
切り捨てているように見えます。
それから、「届ける力」が大事だ、
という話もよく聞きます。
確かに、発信する力は重要です。
ただ最近少し感じるのは、
発信力があれば、OKということで
中身は偽造話でもなんでもありで、
それを見た人々も
また自信満々に同じく話すことに
違和感を感じるときがあります。
少し話がそれますが、
きれいになりたいと思ったときに、
すぐに結果が出る方法を選ぶことも、
今は簡単にできる時代です。
ただ一方で、
染み出る違和感が
残ることがあります。
例えば手元を見たときに、
今では多くの人がネイルサロンで
人工的に整えたgelネイルをしています。
形も色も整えられているはずなのに、
それだけが浮いてしまうような感覚。↓
手全体の雰囲気に
どうも噛み合っていないように
見えることがあります。
それらは、
積み重ねられていない即効的な
勉強や学びの話にも、
どこか通じているように思います。
私は去年MBAを取得しました。
すると何度か、
「それで収入は増えたの?」
「何のために取ったの?」
と聞かれました。
「学ぶことは、
お金に直結しないと意味がない。」
そういう前提でだけ、
多くの人々は選択をするのだと
感じました。
でも私は、
実際に見てきました。
教育によって、
国が変わっていく姿を。
最初からお金を目的にしていなくても、
学びを大事にしてきた人たちが、
気がつけば経済的にも成功している。
1か月勉強して、
直後にお給料が上がることはなく
その力は信じにくい。
でも、
時間をかけて人を変え、
ときには国そのものを
変えてしまう力がある。
教育の力を、日本人の私たちは
今、本気で信じているでしょうか?
信じていないわけではない。
ただ、本気では
信じきれていないのでは
ないでしょうか?

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※感じ方や言葉の紡ぎ方には、
その人だけの色があります。
本記事の内容を引用・ご紹介いただく際は、
出典として塩見有輝の名前、あるいは、
下記リンクを ご明記いただけると幸いです。
https://bit.ly/41A9V4J

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