今日は、「知性は遺伝する」
と信じているとも感じられる
シンガポールの興味深い政策
について書いていこうと思います。
ビザ取得の際も、
学歴主義で有名な
シンガポールでは、
「知性の高い人を増やし、低い人を減らす」
という徹底した施策が
とられてきました。
◆メイドさんはシンガポールで妊娠したら即帰国
フィリピン、インドネシア、
ミャンマーなどの国から
シンガポールにメイドさんが
出稼ぎにきます。
最近は特にスマホの普及により、
外部とのコミュニケーションも
取りやすくなって、外の人と
恋愛関係になって妊娠したり、
シンガポール人の雇用主の子供を
妊娠したりも多いです。
半年に1回の血液検査と尿検査で
妊娠が発覚して
シンガポール滞在ビザを
キャンセルされて帰国する
メイドさんが、
年間に約100人います。
・ 雇用主がメイドさんの妊娠を労働局に届け出なかったら、5000シンガポールドルの罰金
と決まっています。
メイドさんも、
一度強制送還されてしまうと、
シンガポールで二度と働けないし、
雇用主も
5000ドルのデポジット没収
を避ける為、
病院でこっそり中絶手術を
することも多いようです。
そんなことをしたら、
労働局にばれそうですが、
・メイドさんが病院で中絶しても、医師は労働局に報告義務はない
と決まっています。
この姿勢の割り切り方がすごいと思います、シンガポール。
たとえ、どんなに人口が減ろうと、
政府が望んでいる相手とでないと、
シンガポール人を結婚させない、
というところが
徹底していると思います。
メイドさんや、Work Permitという
労働者用ビザでの滞在者は、
シンガポール人とすぐ結婚できません。
結婚の申請をあらためて提出し
許可されるのかどうか
判断を待たないといけません。
◆高学歴の女性にだけ子供を3人以上産んでほしい
女性の学歴が低いと多産傾向、
高くなっていくと少子化傾向、
というのは世界全体の傾向ですが、
シンガポールではこの傾向に逆らい、
1984年にこんな施策を実施しました。
高卒以上の女性は、子供の出産ごと、1人目に5%、2人目に10%、3人目に15%の税金控除がある。
逆に、
両親共に高卒未満の場合、
そして規定年収より少ない場合、
子供を1人あるいは2人で
それ以上産まないと決めた場合は、
10,000ドルの現金を支給される。
その後に子供を産んだ場合は、
受取った10,000ドルと年利10%の利子を追加して返却しなくてはいけない。
◆大学生同士が結婚するようなイベントづくり
2011年に故リー・クアンユー元首相は、
「大学院出身の男性が、大学院出身の女性を選ばないのは愚か者」
「こういう話は公にすると人を傷付けてしまうが、人生における真実だ」
とまで明言するくらいに、
リー元首相は、このことに
とても強いこだわりがあったと思います。
シンガポールでは 政府主催の
大学内ダンスパーティや
お見合いイベントをして
男女の交流を深めたり、
寮を近くに移動させたり、
レクリエーションで
手をつなぐ項目を増やしたり、
必死に高学歴同士が
結婚して子供を産むように、
工夫していました。
◆遺伝と環境
シンガポール政府が、
差別的で非人道的な政府だったのではなくて、
小さい土地で資源がなくて
人材の質が重要な要因になる
自分たちの国を
短時間で発展させるために
常に具体策を立てて実行し、
自国民に幸福を与えた
ということではないでしょうか。
「人」を作るものが
遺伝だけではなく、
環境(教育)であることも
十分わかったうえで、
「遺伝」にこだわっていると思います。
故リー・クアンユー元首相は、
「遺伝子はこねくり回して作れないけれど、文化はこねくり回して作れる」
ということを言っていて、
教育をとてもとても
大事にしてきました。
広東語や福建語など方言を話す
中華系の人々や、
マレー語のマレー人と
ヒンズー語のインド人が
入り混じったシンガポールで、
英語を公用語として、
中華系にはマンダリンを話すように
キャンペーンをしてきました。
優生思想者、エリート主義と
非難されることもある
故リー・クアンユー元首相ですが、
国という大きな単位での
最大公約数の幸せの為に、
計画を立てて人々を導いた
偉人だと思います。
◆知性は遺伝するのか?
今の日本では、
「知性は遺伝するのか?」
「遺伝するなら、国策にどのように取り入れるか」
という議論は
とてもしにくいと思います。
シンガポールとは
様々な面で状況が違いますし、
センシティブイシューで
取り扱いにくいと思います。
きっと、私自身も、
議論の中でふるいにかけられて
落とされたら、一瞬落ち込んだり、
怒ったりするかもしれません。
日本では、政府が今後、
教育環境の方に
力を入れていくことになると思います。
ただ、シンガポールで、
様々な状況が、
日本とは違うとはいえ、
こういうことも堂々と
施策に入れて
突き進んで来れたのは、
「本当に国を良くしたい」
という政府の強い気持ちが、
国民に伝わっていたからだと思います。
誤解されやすい言動があっても、
自分の利の為でなくて、
公共の利の為に、
貫こうとしていたので
多くの人に伝わったのだと思います。
そして、もしも
故リー・クアンユー元首相が
優生思想者だったとしても、
その優れた分だけ、だからこそ
社会に貢献していく責任があるんだと、
言っているように思います。
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