2021年、私はトルコリラで
900万円失った。
私にとっては大金で、
これを書くのは正直、気が進まない。
投資で損した人、ましてや、
トルコリラなんかで損した人は、
典型的な「情報弱者」だとか、
「欲に負けた人」だとか、
そういう目で見られがちだからだ。
でも、このグラフを見てほしい。
トルコリラは、何年も、何年も、
下がり続けている。(90円が3円台に)
(出典:世界の経済・統計 情報サイト)
これだけ長期間下落していれば、
どこかのタイミングで
「ここが底だ」と思った人が、
きっと何万人もいるはずだ。
慎重な人も、情報を追っている人も、
経済ニュースを読んでいる人も。
「さすがにここまで下がれば、
もう止まるだろう」
そう思った瞬間が、何度もあった。
でも止まらなかった。なぜなのか。
インフレが上がれば金利を上げる。
これは世界の常識だと思う。
けれどトルコのエルドアン大統領は、
インフレが加速する中でも
逆張りで金利を下げた。
それがイスラム教的な倫理観
(→利子を望ましくないとする価値観)
から来るものなのか、
それとも主流派とは異なる
独自の経済観(≒思い込み?)
によるものなのかは分からない。
だが彼は、「金利は悪だ」と言い切った。
金利を上げようとする(常識を守ろうとする)
中央銀行総裁を解任した。
そのたびにリラは売られ、
市場の信頼は削られていった。
国のトップが何を信じるかで、
通貨の形は変わる。
私はそこで初めて、
「国家の性格」というものを意識した。
あのあとから、
私は数字よりも先に
「人」を見るようになった。
GDPでも、人口でもなく、
その国のリーダーの考え方の傾向。
その人は、批判されたときに
どう振る舞うのか。
自分の信念と
市場の現実がぶつかったとき、
どちらを取るのか。
国家の経済は、結局、
トップの選択に引き寄せられていく。
そう思うようになった。
例えばマレーシア。
出典:首相官邸公式アカウント(@kantei)より
2026年現在、マレーシア首相である
アンワル・イブラヒムは、
1991年に当時のマハティール首相に抜擢され、
財務大臣に就任した。
当時としては異例の若さだった。
英語も堪能で国際感覚に優れ、
IMFなど国際機関からも
注目される存在だった。
国際金融の場でも評価される優秀な、
次世代リーダーと目されていた人物だった。
しかし、
1997年のアジア通貨危機をきっかけに
マハティールと路線対立したことで、
解任され、そして投獄へと至る。
(この経緯についてはこのブログで、
2023年4月19日の投稿で書いている。
→長期にわたる敵対:人との衝突からの教訓)
マハティール政権下で首都の、
クアラルンプールとシンガポールを結ぶ
高速鉄道計画も見直され、中止となった。
大型プロジェクトで、不動産業界でも
とても期待されていた鉄道だった。
表向きの理由は財政負担。
でも、このプロジェクトが、
自分が始めたものではなくて
前政権で開始されたものであったことも、
判断に影響したのではないか、
とも取れる動きだった。
国家の大きなプロジェクトが、
純粋な経済合理性以外のことで
曲げられたように見えた。
リーダーが何を優先し、
何を引き継ぎ、
何を自分の色に塗り替えようとするのか。
(これに関連する記事を、
2025年6月1日に書いています。
→「自分の足跡をつけるために、他人の足跡を消す」)
そこにもまた、
「国家の性格」がにじむのではないかと。
一方で、
2026年現在の首相であるアンワル首相は、
若い頃から経済分野に強みを持つ人物で、
市場の反応を意識しながら判断しているように、
私には見える。
派手なスローガンはない。
マレーシアのマレー人寄りでもないため、
人気もそこまでない。
でも、
自分の思想を証明するために
経済を使うタイプには見えない。
現在、マレーシアリンギットは
39〜40円前後。
為替は相対的なものであり、
通貨の動きがそのまま
国内経済の強さを示すわけではない。
それでも、ここ数年の水準と比べれば、
明らかに切り上げている。
トルコとは、どこか違う。
900万円は高い授業料だった。
けれど、その損失がなければ、
私は「国家の性格」という視点を
持たなかったかもしれない。
投資とは、数字を読むことだと思っていた。
今は違う。
その国のトップが何を信じ、
どこで意地を張り、
どこで現実と折り合いをつけるのか。
それを読むことなのだと、
思うようになった。
投資の世界に絶対はない。
経済というシステムにも、
もちろん絶対はない。
ただ、
リーダーの思い込みには、
驚くほどの持続力がある。
900万円で学んだのは、
数字の裏にある
“性格”の重さだった。
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※本記事の内容を引用・ご紹介いただく際は、
出典として下記リンクを ご明記いただけると幸いです。
https://bit.ly/4b41OTg
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