今日は、
日本ではそこまで広くは知られていないのですが、
2023年4月現在のマレーシア首相であるアンワルさん↓が、
以前の首相であるマハティールさん↓
(2回首相になっていてトータルで18年間首相を務めた方↑ )と
どれくらい対立して、それによって、
どんなに大変な道を歩いてきたのかを
簡単にご紹介して、
「人と対立するということ」について
考えてみようと思います。
2022年の11月に
アンワルさんが首相になった、
そのニュースを聞いて、
以前シンガポールに12年住んでいた私は、
特にアンワルさんのサポーターという
わけではないのですが、
マレーシアの
マハティールVSアンワルの対立を
シンガポールの新聞でも
見聞きすることが多く、
これまでの道のりが辛苦に満ちていたので、
「とうとうやったのか!」と
本当に感慨深かったのです。
■1982年
アンワルは、マレーシア与党UMNO に参加し、
当時の首相であるマハティールの下で活動を開始。
■1993年
アンワルはマハティールによって
副首相に任命される。
■1997年
マハティールとアンワルは経済政策について
対立し始める。
(アンワルはさらなる自由化を推進 VS
マハティールはより保護主義的なアプローチ)
■1998年
アンワルは任命中の副首相兼財務大臣を、
マハティールに解任され、
その後逮捕され、
汚職とソドミーの罪※
で起訴される。
※ソドミーというのは、「同性愛など自然の秩序に反する性交」を犯罪とする法律。
かといって個人がこの罪で逮捕されることはほとんどないのですが、
アンワルさんには適用されました。
アンワルさんは、汚職とソドミー両方を否定し続けて、これは政治的意図による逮捕と主張。
■1998 年
警察で拘留中に、アンワルは実際に暴行を受け、頭に怪我を負い、数週間入院。
警察はこれを否定しているが、
暴行は当時の警察総監によって行われたと
アンワルは主張。
法廷に現れた時に、
目の周りが黒く内出血していた↓
のが話題となる。(自作自演説も出る)
■1999年
アンワル は汚職で有罪判決を受け、
6 年の禁固刑を言い渡される。
■2000年
追加で、同性愛で有罪判決。
さらに 9 年の懲役を言い渡される。
■2004年
同性愛の有罪判決は
マレーシア最高裁判所によって覆され、
アンワルは刑務所から釈放される。
刑務所から釈放された後、アンワルは
刑務所にいた時の暴行によって
脊髄損傷したと主張し、
ドイツで治療をする。
■2008年
アンワル は政界に復帰し、
野党連合を率いて総選挙で
歴史的な勝利を収め、
マレーシア議会で過半数の議席を獲得。
■2009年
アンワルは再び同性愛の罪で起訴される。
DNAを検査したり裁判で争われ始める。
■2012 年
無罪となるが検察は控訴する。
■2015 年
有罪判決を受け、
懲役 5 年の刑を言い渡される。
裁判の中で、「SOS: マハティールって誰?」
というTシャツを着ていて侮辱罪で逮捕。
■2018年
2003年に政界から引退した
マハティールが、
もう1度首相になるために、
刑務所内のアンワルに、
野党連合を作る協力を
してほしいと持ち掛ける。
アンワルがそれに同意すると、その1週間後に、
国王の恩赦と言うことで刑務所から釈放される。
そして、
総選挙で野党連合が勝利し、
マハティールが再び首相になる。
この時連合を組む際に
マハティールは、
「アンワルに2年以内に、
首相の座を渡す」と
公に約束していたが
なかなか果たされず、
それについて批判の声も高まる。
■2019年
アンワルは政治集会中に
「すべての腐敗の父、マハティール」
というスローガンが書かれたTシャツを
着ていた為、扇動罪で起訴される。
(後に起訴は取り下げられる。)
■2020年
マハティールが首相を辞任する。
マハティールは後継者として
アンワルではなく、ヤシンを押して、
ヤシンが首相※となる。
※その後2023年3月に
ヤシン元首相は汚職で逮捕されている。
■2022年
アンワルがついにマレーシアの首相になる。
↓2023年のアンワルさんの写真
政治的対立を始めてから、25年経って、
そのほとんどを刑務所での懲役と
裁判での争いに費やしたアンワルさんは、
結果として首相になり歴史に名を残し、
単なる個人的な敵意や同盟関係の変化による
利害を乗り越えて、意味あるものにしたとは
思いますが、
2023年現在97歳!のマハティールさんは今も
アンワルさんには批判的な発言をしながら
東南アジア全体に目を向けた政治活動を続けています。
アンワルさんは首相になってからの発言内容は
税のことや、シンガポールとの関係など
ずっと反体制にいた独特の偏りや
個人的な偏りなどもなく
(例:前首相が始めたもので
成果が見られていても、
前首相の色がついているので、
理由をつけてやめるなどの、
よくありがちなマウント行動が、なく)
以前に与党で副首相と財務大臣を
兼任していた経験がある方だからかなと
個人的には思っています。
今日のお話は
政治で国の1番を争う場合のことで、
通常のコミュニティ、例えば会社や家庭や、
ママ友会、学校の先生との関係などなど、
そういうところで敵認定されてしまった場合、
全く価値のない争いの犠牲にならないように
物理的に、それができない場合は、心理的に、
距離をとる方法を考えて、人生の何年もを
犠牲にしないようにしていただきたいなと
思いました。
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